忍者ブログ

学名:アンチノミウス ルサンチマン アンビバランサー 生態系:雨の日でもそうでない日でも傘で顔を隠して考え事

天邪鬼の雨宿り

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【変換小説】「   」01-2

「   」01「出会い」2話です。第1話はこれで終わり。
主人公の名前を変えることができます。
詳しくは「はじめに」http://ameagari3.blog.shinobi.jp/Entry/107/をご覧ください。

まえがき:変換なしです。※良いこの皆さんは絶対マネしないでください。

内容は「つづき」から。


 物置部屋まで廊下をわたっていく。
 わずかにぎしぎしと床が鳴って、静まりかえった家にその音だけが響く。 一人で暮らすには広すぎる家だなあ、と、こういう時にぼんやり思ってしまう。
 まあ庭で野菜とか育ててるし、池とかあるし、今のところおじいちゃんがほったらかしてたものを構ってることが多いから、寂しい気持ちはちっともないけど。
 学生時代の、下校時刻を過ぎたころの校舎を思い出して、少し懐かしい感じもするんだよね。
 物置部屋の杉の戸を横に引いて、こたつをどっかりと置く。
 引っ越しの時から、ダンボールに詰められたまま、すぐに必要じゃなかった物がすでに隅に置かれて、眠っている。元は大家族用にしつらえてある物置部屋だから、こたつセットを詰め込んだところでまだ空間がありあまっていた。

「……朝ご飯何にしようかな。そういやパンもらったな」

 それにしーよう、と戸を閉めて、くるりと体を反転させると、目のはしに一瞬、ちらっと不思議に光るものがあった。斜め後ろあたりー縁側と庭の切れ目が見えるあたりーに、でっぱりがある。

「あれ。ここって塀じゃないの? あれかな、裏口ってやつかな」

 縁側からつっかけをはいて庭に降りてみる。塀に近づいてそのでっぱりをよく見ると、かんぬきだった。つまみが変わった形をしていて、矢のように見える。
 顔を上げて全体をよくみると、それは小さな家だった。こじんまりと佇んでいて、一階分の高さに五畳ぐらいの広さなんじゃないだろうか。屋根はかわらぶき? のように、何か植物でできている。
 屋根を隠すように木が生えている上に、塀の色と、この小さな家の壁色が同じで、今までだれも気づかなかったみたいだ。もしかするとおじいちゃんやお母さんが話忘れてるだけかもしれないけど。
 それにしても、これって、離れってやつ?

「えーっと、おじゃまします?」

 なんとなくいわくありげなところが気になって、私はあまりためらわずにかんぬきに手を伸ばした。
 さび付いて、軋む音が手に響く。
 誰も、長いこと触ったことがないみたいだ。
 ぎぎぎ、と甲高く、生き物が鳴き声をあげるようにかんぬきは動いて、留める物がなくなった戸は、少し開いた。

「…………」

 さすがに不気味だ。私はゆっくり、戸が開いてできた隙間から、中を覗いた。
 目があった。
 とっさに指でつついてから急いで戸を閉めた。

「………………ええええー」

 背筋が凍っている。戸を押さえる手に嫌な緊張がピリピリと残っていた。

「いやいや、これは私呪われるんじゃないかなあ。ちょっとまって、ほんと勘弁してください、まさかうちにそんなものがー、と思って出来心だったわけで、っていうか私そんな話聞いてないよーと言いますか、そもそもお母さんとかおじいちゃんはどうして私に何もいってないの!」

 テンパって頭の中でぐるぐるまわっている言葉をすべてしゃべってみた。ら、ゆっくりと背筋も溶けて、汗ばんだ手も筋肉がやわらいでゆく。
 あ、そうか。別に、あれってどっか穴が開いてて、住み着いちゃった野生動物かもしれないのか。
 深呼吸をして落ち着くと、とたんに大変なことに気がつく。

「まずい。さっき目をつついちゃったからかわいそうなことを……かわいそうなことを!」

 別の意味で、再び背筋が凍り始める私。

「ごめんね、私が責任とってお世話するから! 病院行こうか?」

 と声を上げながら、もの凄い勢いで、バッと戸を開けると。
 中には、これでもかと言わんばかりに目を丸くした青年が、床にあお向けに倒れて、固まっていた。



1-01←:目次:→1-02

拍手[0回]

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL(非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS(コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます

ことごとく暦

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

名前変換所

主人公の名前を変えることができる小説があります。

最近コメントびより

[02/23 セナ]

天邪鬼データ

HN:
雨上 そら
年齢:
690
性別:
非公開
誕生日:
1333/08/19
職業:
全体的にものかき。
趣味:
人類は数年で滅ぶと呟くこと。

Twitter

訪問者数

バーコード

RSSとやら

アクセス解析

Copyright ©  -- 天邪鬼の雨宿り --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]